ベンチャーウォッチャー

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ミリオンダウトの方向性を勝手に考える

 前回の投稿で書いた通り、私はミリオンダウトが好きだ。また、ただのスマホアプリで終わることなく、世界に通用するグローバルなゲームだと思っている。そこで今回は、ミリオンダウトがどのように消費されるべきなのか、そして、そのためにはどうすれば良いのかをおせっかいながら勝手に考察してみた。

現状のミリオンダウトのポジショニングに対する違和感

 ミリオンダウトはスマホアプリであるが、パズドラ、グラブルなどと同じジャンルとして括るのには違和感を感じる。ミリオンダウトは本来、麻雀やポーカーのような競技性が強く、戦略性のある頭脳ゲームだと思うからだ。ただ、現代において、新しいゲームを広める際に一番手っ取り早い方法がスマホアプリだったので、そうしたのではないかと思う。現に、ミリオンダウトは早い段階から秋葉原や池袋にあるメイドカジノ「アキバギルド」でプレイできるようになっていたり、勝間和代さんの店「ウィンウィン」で大会を開催するなど、リアルでのイベントにも力を入れている。これは、開発者もミリオンダウトをただのアプリゲームとして認識していないことの表れだと思う。とはいえ、スマホゲーム市場を主戦場とする限り、そこのユーザーに合わせたコンテンツにする必要がある。だから、最近ではチュートリアルや性格診断要素などを入れ、ライトユーザーを増やす動きをしている。

 が、個人的にはその動きは本来そこまで力を入れることではないんじゃないかと思う。もちろん、スマホゲームとしては大事なことだけど、スマホゲームとして売れることがミリオンダウトの最終的なゴールではない気がするからだ。パズドラやグラブルとミリオンダウトは明らかにコンテンツの質が違う。消費のされ方が違うものを同じ売り方で売ろうとすることに違和感を感じるのだ。そこで、一度、ミリオンダウトをスマホゲームではなく、麻雀やポーカーのようなアナログなゲームと同じ視点で考えてみることにする。

バックギャモンを参考にして考えてみる

 他のアナログゲームと比較してみようと思ったが、そもそも歴史が違いすぎてあまり参考にならなかった。麻雀にしても、テキサスホールデムにしても自分たちが生まれる遥か前からあったもので、それらがどうやって普及していったのかの歴史を遡れば、少しは参考になるかもしれないが、時代が違いすぎるため、そこまで参考にはならない。考えてみれば、ダウトや大富豪みたいなゲームのルーツって大体不明で、いつのまにか広まっていたというパターンが多い気がする。私もどこで覚えたか忘れたが、いつの間にか大富豪やダウトを覚えていた。だから、ミリオンダウトみたいに明確な考案者がいて、それを意図的に普及させようってパターンは、前例があまりない気がしていて、だからこそ、難しいんだろうなと思う。

 少し視点を変えてみると、テキサス・ホールデムなんかも、世界的には普及しているが、日本で見ると、最近少しずつ流行ってきているものの、まだまだ一般的なゲームではない。実はこの種のゲームは、世界的には普及しているが日本では普及していないということが多々ある。その最たる例が、バックギャモンだ。バックギャモンは「西洋すごろく」、「盤すごろく」などと呼ばれるボードゲームで、ボードゲームの中では世界で最も遊戯人口が多く、その数は約3億人といわれている。そんなバックギャモンだが、日本ではその名前すら知らない人も多い。私は以前、友人が日本バックギャモン協会にいた関係で、何度か大会やイベントにいったことがあるのだが、参加者の数はAJPC(ポーカーの全国大会)とはまったく比べ物にならないほど少ない。規模としては、数十名から多くて100名程度(もう少し多いかもしれません)で、イメージとしては、遊戯王カードゲームの地方大会みたいな感じだ(実際に参加したことがないので完全なるイメージ)。日本チャンピョン(正確には将棋のようにいくつもタイトルがある)を決めるような、日本の最高峰の大会でもその程度なのだ。その規模でどうして日本に協会なんてのがあるかっていうと、その少数のプレイヤーの中に世界のトップレベルの選手が何人かいて、世界で活躍しているからだ。これまで日本は3人の世界チャンピョンを輩出しており、バックギャモンだけで生計を立てる、プロバックギャモンプレイヤーもいるくらいだ。彼らの多くは日本でなく、世界の大会に出てお金を稼いでいる。つまり、日本で普及していなくとも、世界に行けば、活躍の場があるのだ。そして、これはミリオンダウトにも生かせる教訓だと思う。この手のゲームは日本よりも海外の方が需要があったりする。つまり、日本市場に固執してコンテンツを試行錯誤するよりも海外に持っていた方がチャンスがある可能性が高いこともある。そのための資金集めとか、実績作り(海外で営業をかける時にユーザー数はこれくらいで〜のような数字がほしいので)のために現在、アプリの普及活動をしているのだと思うが、せっかちな私はこの少し遠回りな努力をもどかしく感じる。もっと直接的な方法はないのだろうか。以下、浅知恵で自分の考えた展開案を記していく。

案①:グローバル版をつくり、Steamで公開する

 海外への布教を考えた時、ぱっと思いついたのが、Steamだった。Steam(スチーム)は、PCゲームをダウンロード販売できるプラットフォームだ。企業だけでなく、ユーザーが作ったゲームを販売できるところが特徴で、世界中のインディーゲームを遊ぶことができる。最近では規模も大きくなり、世界のアクティブユーザー数は1億6千万人といわれている。日本でも近年、一般層にも普及しはじめ、その潜在ユーザー数は500〜600万人いるそうだ。Steamのよいところは、高い経費をかけずに、ネットを通して、いきなり世界にリーチできるところだ。また、ゲーム好きで目利きのユーザーが多いため、日本のスマホゲーム市場よりは、ゲームの面白さや完成度が正しく評価される場所だと思う。これまでSteamで好評価を得て、PS4などのコンシューマーに展開していったゲームも多々あり、その際にはいきなり、世界展開ができるところも魅力である。現状のアプリは日本向けに設計されていると思うので、カスタマイズは必要かもしれないが、グローバル展開をするとっかかりとして、Steamという手段は良いのではないかと思う。

案②:大規模な全国大会の開催、協会の設立

  案②は、大規模な全国大会を開催し、あわよくば、バックギャモンのように協会を設立してしまおうという夢想の話です。これまで、ウィンウィンやアキバギルドなどで小規模の大会は開催されてきましたが、ミリオンダウト日本一を決める大規模な公式大会を開いたら、どれくらい集まるのだろうという興味があるのです。いきなり、リアル大会だと人が集まらない可能性もあるので、ネット上で予選を開催し、大会参加者数を上乗せした方が良いかもしれません。あわよくば、大会を運営するためのスポンサーを探す営業活動の中で、ミリオンダウトに興味を持ってくれる企業との出会いもあるかもしれませんし。

案③:公式オンライン大会の開催

  これは案というか要望ですが、公式オンライン大会を開催してほしいです。リアル大会も面白いのですが、地方でいけない人もいるだろうし、出かけるにが面倒な人もいると思います。インターネット麻雀のようにオンラインでの大会を開いてくれれば、楽しいし、大会があることでプレイヤーのモチベーションがあがり、離れていたユーザーが戻ってくる可能性も高いです。システムとして、テキサスホールデムでいう、リングとトーナメントみたいにデフォルトで大会を開催できればベストなのですが、現状のシステムでも、フレンド対戦機能を使えば、少しアナログなオペレーションは必要になりますが、大会開催は可能だと思うので、ぜひ開催してほしいです。

最終的には、カジノにおかれるようなゲームになる?!

  ミリオンダウトの将来について個人的な願望をいえば、最終的には、将棋かポーカーのような存在になるべきだと思っています。競技としてクラシカルな感じはあまりしないので、現状では後者の方がしっくりくるかもしれません。ここまで小賢しいことを連ねてきましたが、これらのことはすでに運営サイドも考えていることだと思います。投資家がいるのかはわかりませんが、仮に投資をしている人がいるなら、単なるスマホアプリに投資をしているというよりは、その先の展開まで見据えて投資をしているのでしょう。もし、東京にカジノができた時、ミリオンダウトがそこの置かれるようなことになれば、今の数百万(?)の投資なんて微々たるものですから。

私はこういうメジャーじゃなくて、ニッチなところでこだわりを持って勝負する人たちが好きなので、すごく応援しています。そして、最終的にはメジャーになれるように私も何かしら貢献できたらと思っています。

 最後に、途中でちらっと紹介したバックギャモンの記事を貼っておきます。ちなみに、ポーカーの世界チャンピョンになった木原さんも実はバックギャモンをやっていたりします。他には騎士の方とかも。都内でほぼ毎週イベントをやっているので、気になった方は遊びにいってもいいかもしれません。

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