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ベンチャーウォッチャー

面白くて、新しいものをつくっている人たちを紹介したり、応援したりするブログ。コンテンツ、プロダクト、サービス、アートなどなど、ジャンルは問いません。

日本で一番ベンチャーしてる映画配給会社『SPOTTED PRODUCTIONS』

My Favorite Company 映画

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 本日20:40より、池袋シネマ・ロサという映画館にて、『童貞。をプロデュース』という作品が上映されていました。この映画は、筆者が大ファンである松江哲明というドキュメンタリー監督の代表作で、2007年の公開から今年で9年連続でこのシネマ・ロサで上映されている、超ロングランヒット映画です。

 映画の内容は、女性経験のない20代半ばの青年(いわゆる童貞)を主人公としたドキュメンタリー映画です。独自の自意識を抱え、自分の殻を破れずにいる彼らを松江監督が“プロデュース”し、童貞を卒業させよう!というところから企画はスタートするのですが、本題であるプロデュースどうこうよりも、純粋で個性的な童貞のキャラクターが魅力的で面白い映画です。90年代のバラエティ番組で例えると『電波少年』のような感じで、人間にフィーチャーにしたバラエティ感覚のドキュメンタリーとなっています。

 ほんの少しだけエッチなところは出てきますが、男性はもちろん、女性でも楽しめる映画となっており、実際、映画館には毎年、結構カップルも来ています。

 また、全編を通して笑いどころの多い作品ですが、AV監督のカンパニー松尾さんが童貞1号の加賀くんに放つ台詞は、すごいかっこ良くて、良い内容なので、もし、見る機会があれば、ぜひそのシーンを気にして見ていただきたいです。

 余談が長くなってしまいましたが、この映画を“プロデュース”(?)したのが、表題のSPOTTED PRODUCTIONSという映画配給会社なのです。プロデュースというと少し語弊があるかもなので訂正すると、映画の配給や宣伝をした会社です。(法人化したのは、2010年からなので、この時は映画配給会社・アップリンクから独立した直井卓俊氏による個人事業でした。ちなみに、直井氏は「童貞。をプロデュース2〜ビューティフル・ドリーマー〜」の本編にもナヲイとして、ちらっとご出演されています。無駄な説明が多くてすみません。。。)

 このSPOTTED PRODUCTIONSという会社、こんな映画を配給してることからわかるとおり結構尖ってるヤバい会社です。マンガ、アニメ、小説の原作物ばかりが横行する現代の日本の商業映画界の中で、若手監督によるオリジナルの作品ばかりを採用し、公開しています。

配給作品リスト

2005年 - 2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
  • -×-(マイナス・カケル・マイナス)
  • UNDERWATER LOVE-おんなの河童-
  • 劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ
  • 人の善意を骨の髄まで吸い尽くす女
  • 庭にお願い
  • ニュータウンの青春
2012年
2013年
  • 非少女犯行声明
  • 恋の渦
  • 自分の事ばかりで情けなくなるよ
  • ダークシステム[完全版]
  • 暗闇から手をのばせ
  • MOOSIC LAB 2013
2014年
  • 5つ数えれば君の夢
  • アイドル・イズ・デッド -ノンちゃんのプロパガンダ大戦争-
  • MOOSIC LAB 2014
    • ほったまる日和
    • なんでゴメス
    • 寝床から愛を込めて
    • ノビドランド
    • イルカ少女ダ、私ハ。
    • カメラの見た夢
    • マナツネーション
    • 恋文X
    • 俺は狂って…
    • 聴こえてくるのは反発だ!おっぱいだ!僕はマグマだ!
    • アカシックドキュメンタリー
2015年

wikipediaより

上記の中で特におすすめの映画は、『サイタマノラッパー3 ロードサイドの逃亡者』、『アイドル・イズ・デッド』、『ダークシステム[完全版]』、『おとぎ話みたい』などですかね。その中でも特におすすめは、幸修司監督の「ダークシステム」と山戸結希監督の「おとぎ話みたい」です。ダークシステムは興行的にはあまり成功しなかったのですが、業界人を含めた一部のファンに支持され、自主映画としては異例なことにテレビ東京でテレビドラマ化されました。他には、ウィキペディアには漏れていますけど、『サッドティー』や今年公開された『友達のパパが好き』も面白かったです。いつもとは少し変わった作品が見たいと思った時には、SPOTTEDの作品はおすすめです。

昨年、配給作品が日本アカデミー賞で最優秀賞を受賞!

上記のように若手作家たちの力のある作品を献身的に上映してきたことが実を結び、昨年の第39回日本アカデミー賞にて、SPOTTED PRODUCTIONSが配給した『百円の恋』という映画が最優秀主演女優賞、最優秀脚本賞を獲得しました。

SPOTTED PRODUCTIONS自体は賞をもらっていないし、メディアでもほとんどフィーチャーされませんでしたが、個人的には彼らの活動が世間に認知されたことをとてもうれしく感じました。こういう映画が評価されることは日本映画にとって良いことだと思うし、これからも応援しています。

配給以外にもこんな活動を…

 SPOTTED PRODUCTIONSは映画の企画・配給だけでなく、Tシャツ販売や宣伝活動など様々な活動をしています。例えば、宣伝活動の一環として、「SPPOTED701」という映画雑誌を定期的に刊行しています。映画配給会社ならではの人脈を活かしたインタビュー記事など、見どころたっぷりです。また、デザインもスタイリッシュで本棚に置きたくなります。

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 他にも、若手ミュージシャンと若手映画監督がコラボして作品を作る『MOOSIC LAB』というコンテスト企画を2012年より毎年開催しているなど、新人獲得の発掘にも力を入れています。このコンテストを経て、全国の劇場で公開されるようになった映画がいくつもあり、若手映画監督の登竜門的な存在になりつつあります。

SPOTTEDが教えてくれた商業としての映画の面白さ。映画界のベンチャー企業の挑戦はつづく

 これまでは映画について考える時、作り手のことしか頭にありませんでした。いい作品を作れば、ヒットする。そんな単純な考えをしていた気がします。しかし、実際に映画が興行されるためにはプロデューサー、宣伝会社、上映する劇場、スポンサー、そして、SPPOTED PRODUCTIONSのような配給会社など様々な人の協力が必要で、多くの人が関わっているからこそのジレンマもあり、一方で成功した時の達成感は何倍にもなるのでしょう。

 大手の映画会社が保守的になっている現代において、SPPOTED PRODUCTIONSのような挑戦的な会社は今後の日本映画界にとって必要不可欠だと私は思っています。興行収入優先して既存のコンテンツを使い回す業界の流れの中で、あくまでも映画の創造性を重視した彼らの活動を私はこれからも応援しつづけます!